2015/11/26

試薬としての「おそ松さん」

 お久しぶりです、篠崎です。ほぼほぼ1年ぶりのブログ更新となります。イヤホンを新調した(というか誕生日に親戚に高価いものを買ってもらった)ので、そのレビューもしたいしたいと思いつつも、こっちを先に書き始めてしまったので。
 ギャグアニメを無理矢理ギャグじゃない方向に解釈してみようという、生産性皆無のエントリーです。



 なんだか各所で大人気だったり物議を醸しているTVアニメ「おそ松さん」ですが、私も毎週ニコニコ動画の配信で観ています。なんというか、赤塚不二夫の名に恥じぬ、これはこれでいい作品だと思っています。ただのギャグアニメとして、頭のなかを空っぽにしてお腹が痛くなるほど笑い転げたりしながら観ています。ま、実際いつも私の頭の中身は空っぽなんですけど。
 そうはいってもまぁ、上記の通り、この作品は現在それなりに物議を醸しているわけで。そんな物議の一端を、公式ページにも見ることができます。
ようは、上のお知らせはテレビで放映された「おそ松さん 第1話」はDVD/BDには収録されず、代わりに完全新作アニメーションが収録されるというプレスリリース、下のそれは同じく「おそ松さん 第3話」が、DVD/BDに収録されはするものの、テレビで放映したものとは内容を変更して収録する、というものです。後者は具体的に言うとあるエピソードを削った上で収録するというものなのですが、それは書かないでおきます。代わりにこのWeb記事のリンクを貼っておきます。
要するに、3話の中にあるエピソードが、あまりにもパロディがどぎつかったので、地上波放映後に当該シーンを差し替え、BSでは差し替えた上で放送、またDVD/BDには収録せず、こちらも新作のショート映像を収録することが決定をしたというのが顛末です。こんな深夜帯の1アニメ作品の処遇について、社長が直々に回答したというのもヒョエーという感じですが、まあ現実はギャグアニメよろしく笑ってるだけじゃダメなのだよ、ということを見せつけられた感じがします。
 他にも5話でのカラ松の扱いが不憫すぎる、可哀想すぎるなどの理由でなんかプチ炎上したり(そんな大きくもなかった? 私のTLだけ?)、なんだかこの作品は眺めていると微妙な気分になる話題が尽きません。
今回は、そんな「おそ松さん」について、思うことをつらつらと。
 この「おそ松さん」、公式ホームページのイントロダクションにはこんな記述があります。

一世を風靡した伝説の六つ子が、
今、よみがえる!


古き良き昭和の時代―。
日本中を沸かせた名作ギャグ漫画「おそ松くん」。
そしてその昭和の最後を華々しく飾った前作アニメ。

それから時は流れ、現代。
街並みも、ライフスタイルも変わった今、あの6つ子たちも、ひそかに成長を遂げて帰ってきた!

あの頃と同じ家に住み、大人になってもマイペースに生きる、おそ松達。
はたして、イヤミやチビ太、トト子にハタ坊、ダヨーン、デカパンなど個性豊かなキャラクター達の現在の姿は…?!

赤塚不二夫生誕80周年という記念の年に、TVアニメ「おそ松さん」としてよみがえる伝説的作品。
その約束された問題作が、今再び幕を開ける!

 確かに、という他ありません。「約束された問題作」なんて、こんなに最適な言い回しを考えた方は天才だと思います。
 そして、そんな問題作ゆえに、世間で物議を醸すのは当然のことといえます。すなわち、公式が最初から物議を醸すことを前提としているとも取れるわけです。

 そもそも、赤塚不二夫氏の作品は、どぎつい、ともすれば残酷なまでの不条理ギャグが持ち味です(と、私はなんとなく思っています)。
 そして、そんな作風の「おそ松くん」は、過去2度に渡って(1966年・1988年)アニメ化されました。あの不条理なギャグをです。最盛期のトムとジェリーと立派にタイマンを張るか、ともすればトムとジェリーが六つ子におでんの種にされそうなレベル(※個人の見解です)のアニメに、既に2回もなっているのです。そしてその当時、今回のような差し替え騒動は起きませんでした。

 そして今回のアニメ化「おそ松さん」です。今回のアニメ化はあまりにも挑戦的だと、プレス発表の時点で私は思いました。今、「おそ松くん」を下敷きにアニメを作るとなった時、取るべき道は「原作のままではあまりにどぎつい赤塚作品を、いくぶんかマイルドに翻案する」のと、「引かず媚びず顧みず、なるべく原作を尊重する」のとがあったと思います。「おそ松さん」は後者でした。その結果として、やはりいくらか世間を賑わせることになりました。
 そんな、ある程度予想できた結末を顧みず、公式サイトに「約束された問題作」とまで銘打ってまでどうして、アニメスタッフは、藤田陽一監督は、原作にできるだけ忠実に、不条理ギャグとして「おそ松さん」を描いたのでしょうか。

 今や幻となった「おそ松さん 第1話」で、おそ松とトド松はこんな会話をします。
「赤塚先生、怒ってないかな」(おそ松)
「平気だよ、だいぶ前に死んだから」(トド松)
そうなんです、赤塚先生は死んだんです。これが、これだけがその答えだと私は思うのです。
 赤塚先生が死んで、六つ子が酒を飲めるほどに大人になった。それだけの時間が流れた現代は、あの頃からは街並みも、ライフスタイルも、いろいろなものが変化しているのです。そして、変化した視聴者は不条理を嘆き、変化したテレビ局は本編を差し替えました。変化したから対応も変わった、それだけのことです。そしてそれは何より、作品への対応の変化をもって、現在に生きる我々、「視聴者の現在の姿」を描いたということに他ならないのです。
 その変化を映すために、「おそ松さん」は変わってはならなかったのです。現在においても、それは赤塚先生の作風に限りなく近い、どぎつい不条理ギャグである必要が大いにあったのです。
 そして、その試みは成功しました。現代は、「おそ松さん」を拒絶したのです。

 そしておまけにもう一つ。現在という時代は、赤塚先生の作風を嘆き、差し替えました。すなわち、赤塚先生は、現在においてはまず受け入れられず、生きていけないということです。それは赤塚不二夫という漫画家の、漫画家としての死であり、彼の作風、すなわち「赤塚不二夫というジャンル」の死でもあります。加えて、かつて赤塚不二夫がギャグ漫画の王様といわれた時代そのもの、いうなれば「赤塚不二夫という時代」の死をも意味します。そしてそこに考えを巡らせた時、さきに挙げたおそ松とトド松の会話が、少し今までと違って聞こえます。

 そう。「赤塚不二夫」は「だいぶ前」、既に「死んだ」のです。不条理ギャグやパロディに埋め尽くされた彼の作品を受け入れる時代はもう過去のものとなり、現代という、あれからは大きく変化した新しい時代になったのです。

 ここまできて、私は考えます。
 真に「約束された問題作」とは、「おそ松さん」を含めた「赤塚不二夫というジャンル」なのでしょうか、それとも「現代」なのでしょうか。

  聞けばこの会話シーン、最初は6つ子たちが普通に謝っていたのが、フジオ・プロ側のアイディアで変更になったのだといいます。そんなところにも、フジオ・プロとしての、何かメッセージめいたものを感じてしまうのは、私だけでしょうか。



 ところで、この文章は、誰が松野カラ松を殺したか、あるいははなまるぴっぴをもらえなかった子の話というエントリに大いに触発されて書かれました。誰が~が「おそ松さん」という作品の内部的な崩壊を紐解くものだとするならば、私のこのエントリは、その外部的な崩壊を紐解こうと試行したものです。ぜんぜん紐解けてない感じもします。
 要するに、私が言いたいことは、「『おそ松さん』の一見何事もない平和な世界観は、その作品で描かれた不条理と、作品への反応をもって現実的に崩壊する」ということです。早い話がマッポーってこと。

 お粗末さまでした。他の話も、できるだけ早いうちに。

2014/12/08

ARROWS M01購入れびゅー & とほほ話

 お久しぶり、というわけでもないですがおはこんばんちは。篠崎です。

 先日12月5日に、イオンリテール株式会社から、イオンスマホ第4弾として、ARROWS M01の提供が開始されました(詳細はこちら)。メーカーサイトから引っこ抜いた主要なスペックは以下のとおりです。
機種ARROWS M01
外形寸法(H×W×D)約138×67×10.9mm
重量約153g
連続通話時間約670分
連続待受時間LTE約700時間
3G約950時間
バッテリー充電時間約150分
液晶サイズ4.5インチHD(有機EL)
OSAndroid 4.4
カメラアウトカメラ約800万画素
インカメラ約130万画素
フラッシュ対応しています(LEDライト)
CPUMSM8926 1.2GHz Quad Core
内蔵メモリROM8GB
RAM1GB
外部メモリmicroSD(上限2GB)/microSDHC/microSDHC UHS-I(上限32GB)
電池2,500mAh
通信LTE2GHz/1.8GHz/1.5GHz/800MHz
3G2GHz/800MHz
通信速度LTE150Mbps
3G14.4Mbps
さて、このM01が発売されるというプレスリリースが出た頃、私が今まで日本通信のスマホ電話SIMを入れて使っていた、同じく富士通製のARROWS Me(F-11D)が不具合を頻発するようになっていました。最終的にここ数ヶ月は、約1ヶ月おきに「暗号化処理に失敗しました」というダイアログを表示して完全初期化されるような始末。
 そんなわけで、ちょうど端末を買い換えたいと思っていた私は、このM01を買うことにしました。実は、イオンスマホは端末のみの購入が可能なのです。
 ちなみにスペックを見ればわかるのですが、M01のCPUはZenfone 5と一緒です。Zenfoneのほうが、RAMもROMもM01の容量の2倍だったりして、値段もZenfoneのほうが安かったり(Zenfone 5はASUS直販で28,944円、M01は一括現金払いで税込39,657円)、全体的な分はZenfoneにあるのですが、富士通に育てられた私としては、後述のいろんな理由もあって、M01を買うことにしたのです。

ところで、イオンスマホのfaqを見ていると、「購入には身分証明書が必要」とか、「未成年は購入できない」とか書いてありますが、一括で購入する場合は身分証明書はいらない旨を事前にイオンから回答を得ています。ただ、購入した客のデータは登録が必要らしく、店頭で電話番号(刺そうと思っているSIMの電話番号)、氏名(フリガナのみ)、住所(郵便番号と都道府県まで)を用紙に記入し、データベースにその情報が登録されるのを待つ必要があります。私の場合は10分程度で登録が終わりました。私が店員に声をかけてから商品の確認、注意事項の説明まで含んで、購入完了までに要した時間は総計で約30分といったところです。
 それでは以下、ARROWS M01のレビューのようなもの。

1.そとみ


 というわけで、ARROWS M01を手に入れました。以降、開封しながらいろいろと見ていくことにします。写真が下手なのはどう考えても私がこういった写真撮影に不慣れなせいです。大変申し訳ございません。

今回買ったもの
 今回は、ARROWS M01(Black)本体と、アクセサリとして反射防止フィルム(税込518円)と専用ハードケース(税込1058円)を購入しました。全てイオンの店頭で手に入ります。3点で税込合計は41,233円。
箱を開けます
 バッテリー、ACアダプタ、充電スタンド、本体と裏蓋が入っています。本体の下の空間に、microUSBケーブルも入っています。
なかみぜんぶ
 左から裏蓋、本体、ACアダプタとバッテリー、microUSBケーブル、充電スタンドです。
サイズ比較
 左から、今まで使っていたARROWS Me(サイズ(H×W×D):約119×60×10.8mm)、M01(同:約138×67×10.9mm)、リップクリーム(H:7cm)です。やめて石投げないで、コレ以外にサイズ比較になりそうなものなかったんですぅ……。
M01の背面
 はい、ここに私がZenfone 5を差し置いてM01を買った理由があります。
 お気づきですか? そう、このM01、キャリアロゴが一切入っていないんです。SIMフリー端末なので、当たり前といえば当たり前ですが。
 それにしても、このM01のフロント部分にあるのは「ARROWSロゴ」と「Fujitsuロゴ」だけ、背面に至っては「富士通インフィニティ」だけが、中央に凛と刻まれたのみと、全体的にとてもシンプルです。このデザインは、同じく富士通が法人向けに販売するSIMフリースマートフォン「M305/KA4」とほぼ同一です。そう、M01は、どうやらこのM305/KA4をもとに、イオンと富士通が共同で開発した製品らしいのです。
 もともと、私はM305/KA4発売のプレスリリースを見て「なんだこの端末欲しい!!」とか思ったのですが、法人向けだから手に入ることはないや、と思っていました。それがその後になってこのM01発売のプレスリリース、加えてスペックからどうやらこのM305/KA4をベースにするらしいとわかって、もはやお正月を待ちわびる小学生のような気持ちで、このM01の発売を待っておりました。かくして、その端末は今私の手元にあります。率直に嬉しいです。お年玉もらった小学生のような気分です。

 持った時の感触としては、それなりの厚みがあり、横幅は狭いため、逆にXperia Z3などよりもずいぶん持ちやすいと思いました。背面のプラスチックは非光沢で、多少ざらつきのある加工のため、これが手のひらとちょうどいい摩擦を生んでいる感じです。
 画面は720x1280pixelの4.5インチ有機ELディスプレイで、今まで使っていたF-11D(480x800pixel)とは、解像感も発色の良さも比べ物になりません。ギラツキが強いわけでもなく、やさしく、でもしっかりと輪郭のある発色です。要するに、ソニーほどギラギラしてないってこと。

2.なかみ

 次は、ARROWS M01の中身のソフトウェアについて。

メニュー画面  
 プリインストールアプリはこんな感じです。Biglobeとかイオンとか入ってますけど、邪悪な大量のdocomo謹製アプリが入ってないのですっきりしてますね。
 あとはとりあえず、何もいじっていない素の状態でのベンチマーク結果など、適当に貼っていきます。
AnTuTu v5.3
 まあ、ミドルレンジのスマホ相応のスコアでしょうか。やっぱRAMが大きいぶん、ちょっとZenfone 5の方が速いですね。

Quadrant Standard Edition
 古いデバイスしか画面に出てきませんが、Quadrantだとこのくらいのスコアが出ます。

Vellamo Mobile Benchmark
 Vellamoのスコアはなんかやたら低いなと思ったら、

エラー
 Text Refloのテストが"Failed to set font size"のエラーを出して計測されていませんでした。
 ちなみに、標準ブラウザでも同じくなんかエラーを吐き、1130とかそこいらのスコアしか出ませんでした。
 まあ私のことなので、これからいろいろとカスタムして、なんか飛躍的にスコアが良くなったりしたらまた書きます。

 あとオモシロイと思ったのが、M01に挿入したmicroSDHCカードは、/mnt/sdcard/ではなく、/storage/sdcard1にマウントされます。/mnt/sdcard/には内蔵ストレージがマウントされており、デフォルトでは写真などのデータはこちら側に書き込まれるようになっているようです。おそらくは、microSDHCカードを挿さずとも使えるようにするための方策だと思うのですが。

3.もんだい

 ……と、問題はここからなんです。ここまで全て順調だったんです。
 ここまでひと通りやってから、やっとこさ今まで使っていたF-11DからSIMを引き抜いて、M01に刺して、APNも設定して(なんとBiglobeの他に、b-mobileとIIJmioのAPNはデフォルトで入っていました)、再起動しました。
 ……あれ、モバイルネットワークにつながらないゾ?

なんか、へんだ(画像の一部を加工しています)
 電話番号は認識されているのですが、ネットワークにつながっていません。APNの設定がおかしいのかと思ったらそういうわけでもないらしい。それじゃあと思って「通信事業者」で回線をDOCOMOに設定しようと思ったら「お使いのSIMカードではこのネットワークに接続できません」なんて言われてしまう。どういうことなの……。
 まあいいや、とりあえずブログ書こう……と思って、ここまで記事を書いてきたのですが、重大なことを思い出してしまいました。

 そういえばこのSIM、3G専用でした。
 ・Xi(クロッシィ)対応端末はご利用いただけません。詳しくは動作確認端末にてご確認ください。
(SIM設定方法 | スマホ電話SIM、「3G専用SIMについて」より)
抜かった。LTE対応のM01では使えるわけがない。
 そうだ、今まで使っていたF-11DはLTE非対応、3G通信にしか対応していなかったから普通に使えてるんだ。だからうっかり見落としてM01買っちゃったんだ。
 悪あがきとばかりに、電話から「*#*#4636#*#*」をコールし、優先ネットワーク設定を「WCDMA Only」に設定してみましたが、やっぱりダメ。
 うわー、高い買い物して何してんだ自分――。

 まあ、原因を突き止めてから考えれば、もしそうなら別にZenfone 5を買っていてもモバイルネットワーク通信はできなかったでしょうし、なんというか、そこだけはなんか救われた気がします(たぶん救われてない)。
 というか、なぜ3G専用SIMだとLTEモジュールを積んだ端末で通信ができない(ネットワークが降ってこない)のでしょうか。もしくは、そもそも原因はそこじゃないのでしょうか。どなたか詳しい方、わかる方がいらっしゃいましたら教えてください。

 というわけで、ここまでが、私が今日(もう昨日だ)約4万円を払って、(今のところは)Wi-Fiしかつながらないちょっと小さめのタブレット(にしかならない端末)を購入した話でした。ちゃんちゃん。

 P.S.SIMは、満身創痍のF-11Dに戻しました。

2014/11/24

Creative Technology社製 EP-660を使ってみた

 お久しぶりです、篠崎です。
 今回は同人の告知とかではなく、本当になんでもない日常に近い話。タイトル通りで、早い話がレビュー記事。同人告知用のブログとこういう類の記事を書くブログ、分離したほうがいいのかなぁ。

 閑話休題、先日またしても新しいイヤホン(正確にはインナーイヤーヘッドフォンだけど)を誕生日プレゼントにもらいました。去年のATH-CKM500から約1年、おおよそ1年に一回のペースでイヤホンを買い替えていることになります。なんでそんなに頻繁なのかっていう話ですが、無精者な私はコードを端末に巻き付けてそのままポッケに放り込むなんていう荒行を常にイヤホンに強いていまして、そのためにだいたい3.5mmピンのあたりが断線してしまうんですよね。そんな荒行やめろって話ですが。
 ですが、ATH-CKM500の場合はその辺りのことは関係ありません。なぜかって、今回の場合は単純に(たぶん横浜駅で)落としたからです。

 そんな私の無精話はおいといて、本題に行こうと思います。今回は、Creative Technology社製のインナーイヤーヘッドフォン、EP-660の個人的な使用感とかのレビューみたいなものです。

 これが私のもとにEP-660が届いた当日のツイートです。どうして当日のツイートを引っ張ってきたのかって、パッケージの写真がどこを探してもコレ以外見つからなかったからです。ちなみにこれは黒なので、正確な型番はEP-660-BKとなります。
 ツイートの日付が今年の8月23日なので、この記事を執筆している時点でこれを使い始めてからほぼ3ヶ月ということになります。その間ほぼ毎日EP-660を使っていましたが、その上での現状での使用感などをつらつらと書いていきます。
 再生機材は、主にミュージックプレーヤー兼アニメビューワーと化している携帯Arrows Me(F-11D)と自宅に置きっぱなしの母艦PC(LIFEBOOK PH74/CN、型名FMVP74CN58)、それに普段持ち歩いているモバイルノート(Let's note CF-J9NYABHR)です。要するに、再生機材は大したことないです。正直、NW-ZX1とか欲しいです。

 さて、このEP-660ですが、コード長は1.2mあります。普通に使うぶんには何の問題もない長さです。私は本体を耳に装着し、3.5mmピンをF-11Dに刺し、F-11Dを上着のポケットに放り込んで常用していますが、何ら問題ありません。
 ケーブルはちょっと硬くてつるっとした感じのビニールコーティングです。Victorのイヤホンのケーブルとだいたい同じくらいですが、オーテクのそれと比べるとちょっと心許ないかも。
 3.5mmピンジャックはゴムラバーで覆われていて、ジャックから引っこ抜くときにちょうどいい摩擦力を産みます。これ、小さいようで大きな工夫。
 ボディはまるっこくて小さめでものすごくシンプルなデザイン。シルバーのブラスチック部分でCreativeのロゴがちろっと自己主張してます(持ち歩いてるとすぐ剥がれますけど)。
 イヤーピースは、Victorのそれに似た口径の大きなものです。というか、もしかしたらVictorと共通のイヤーピースが使えたりするかもしれません(未検証ですが)。私は最初から本体についていたイヤーピースをそのまま使用していますが、Victorのそれに慣れた方は全く違和感なく装着できると思います。オーテクに慣れた方には、シリコンが柔らかすぎてちょっと違和感があるかもしれませんけど。

 先に引用したツイートの写真を見ると、パッケージにでかでかと"Enhanced BASS"と書いてありますが、実際に音を聴いてみると案外バランス型。確かに低音が少しばかり強く感じますが、他社の低音重視イヤホン(VictorのXXシリーズとか)のように、強烈な低音のせいで高音域がぼけてしまうようなことはありません。まあ、もともとのCreativeの音はずいぶん高音寄りな印象があるので、"Enhanced BASS"によってちょうどいい感じになったのかもしれませんが。
 それではここからは、いくつか具体的な曲名を挙げながら、音についての印象を書いていきます。
 capsuleの"Sugarless GiRL"(同名のアルバムに収録)の冒頭では、スチール・ギター独特の音はみずみずしく響き、かつその後から追いかけてくるノコギリ波にも似たシンセドラムの音も鮮明です。オーテクのイヤホンは、どこか高音が硬く、ちょっとばかり潰れてしまっているような印象でしたが、Creativeのそれでは比較的素直な高音が耳に届きます。
 Mitchie Mのアルバム「THE GREATEST IDOL」収録の"FREELY TOMORROW"でも、高音と低音のバランスの良さが光ります。ドラムの低音が連続的に鳴る中でも、高めのメロディーラインはぼけることなく澄み切って聞こえ、かと言って低音がぼけてしまうようなこともなく、二つのラインがそれぞれ仲良く並んでいるような印象です。全体的にこのEP-660は、打ち込み(DTM)系の、わりとドンシャリ感が強い曲との相性が良さそうです。
 その代わりと言ってはなんですが、ボーカルが主題となる曲では少し物足りない感じもします。"A/Z"(SawanoHiroyuki[nZk]のシングル「a/z|aLIEz」収録)では、パワーのあるmizukiの歌声が少し弱々しく控えめに、FictionJunctionの"eternal blue"(アルバム「elemental」に収録)では、ボーカルラインにツヤ消しをしたような感じで聞こえてきます。また全体的に、中音域の音は若干弱く、軽くつぶれたような印象を受けました。ただし、そこまでひどいものでもないので、イコライザで自分好みに調整すれば十分に許容範囲内に収まります。

 総合的に見て、決して損な買い物ではありません。メーカー直販価格でも税込みで4094円と、ATH-CKM500のメーカー直販価格と比較して約3分の1です。それでも高音の抜けはATH-CKM500よりも格段に素直ですし、低音の迫力も引けを取りません。「オーテクのイヤホン使ってたけど、なんか音が硬くて疲れる」といった方は、EP-660を試してみるのもいいかもしれません。また、「Victorの低価格イヤホンを使ってたけど、もっと奥行きのある音が聴きたい」という方にはぜひお勧めです。イヤーピースの装着感もそうですが、ほぼ違和感なく移行できるかと思います

 ちなみに、ATH-CKM500の記事でも騒ぎましたが、このEP-660にもコードホルダーがありません。自分はATH-CKM500を使っていた時、コードホルダーを自作してくっつけていましたが、近いうちにEP-660用のそれも作りたいと思っています。ヤクルトについてくるストローを使うとけっこういい感じに作れました。そのうち作ったらブログに書くかもしれません。

 本日はこれだけです。また何かあったら書きます。
 それではこの辺で。篠崎でした。
 

2014/08/12

いろいろなことがありまして

 どうも、こちらではお久しぶりです。篠崎です。
 前回の更新は、なんと去年の10月1日でした。すなわち私はこのブログを約10ヶ月もの間放置していたことになります。とんでもないやつです。ちなみにサイトの更新は去年の7月21日が最後であり、要するに1年以上放置を決め込んでいるということになります。とんでもないことですし、そんなことをしでかすクソアホバカは一体誰なんでしょうか。顔が見てみたいものです。私です。

 クソアホバカといえば、私は結局受験に大失敗し、超絶アホカスバカアンポンタンガチクズクソアーパード底辺Fラン人間としての人生を歩み始めました。今までが超絶アホカスバカアンポンタンガチクズクソアーパード底辺Fラン人間でなかったのかと言われると決してそうではないのですが、そうですね、超絶アホカスバカアンポンタンガチクズクソアーパード底辺人間くらいではありましたね。要するに、今までの私にFラン属性が追加されました。おめでとう!(パンパカパーン)

 というわけで、今現在は絶賛超絶アホカスバカアンポンタンガチクズクソアーパード底辺Fラン人間生活を送っている真っ最中でございますが、一応は超絶アホカスバカアンポンタンガチクズクソアーパード底辺Fラン人間なりに受験が終わったということで、それなりに時間ができました。おかげさまで創作が捗……らないんですよねこれが。私は受験というものを乗り越えるにあたって、創作ということをできない人間になってしまったのかもしれません。正直、今のいままでは過去の惰性でやっている気がしてなりません。もし本当に立ち止まったら、それはきっと私が超絶アホカスバカアンポンタンガチクズクソアーパード底辺Fラン人間以上の超絶アホカスバカアンポンタンガチクズクソアーパード底辺Fラン人間になるということを意味するのだと思います。よくないことですけど、そうなっちゃったらもうしょうがないので、潔くこの世からおさらばするくらいの勢いでいたいと思います。今すぐにおさらばしたほうがいのかもしれないけどね!!!!

 さて、そんな超絶アホカスバカアンポンタンガチクズクソアーパード底辺Fラン人間のネガティブな話は置いといて、惰性だろうとなんだろうと一応は創作はやっているわけでして、今回はその告知などしたいと思います。
 まずは目前に迫ったコミケ(コミックマーケット86)でございます。
 3日目8月17日(日曜日)、へ-51b「どりーむ@ぴーしーず」様にて頒布されます「あ・じゃんぶる13」に、私の1200字程度の拙文を寄稿させていただきました。とある経緯によって書いたものなのですが、まあそれは「あ・じゃんぶる13」の方にあとがきとして書かせていただきましたので、そちらを御覧ください。あと今回の話は、個人的に初挑戦となった百合ものでございます。ただしテイストは、毎回の私の文章傾向からしてお察し、ということで。

 そして加えて今夏は、コミティア109に参加することとなっています。
 実は今春から、「篠崎麻琴」とは別名義で、どちらかというと文章のうつくしさではなく、「ビジュアルにしたときにきれいに見える」ようなものを目指して活動を始めました。要するに、若干文章の書き方が違います。
 高校の時の同級生たちと立ち上げたサークルで、最終的にはノベルゲームの作成を目指しています。今回はその布石というかそんな感じで、私が原作を書き、ビジュアル担当がコミカライズする、という形になっています。詳細はたぶんtwitterなり何なりで、追って告知させていただきます。

 また、そのあとになりますが、夢桃里さま主催の小市民アンソロ「chocolate days」に参加をさせていただく予定です。
 〈小市民〉シリーズというのは、「氷菓」で一躍有名になられた米澤穂信先生の著作「春季限定いちごタルト事件」「夏期限定トロピカルパフェ事件」「秋期限定栗きんとん事件」3つの総称です。小市民を目指す小鳩常悟朗くんと小佐内ゆきさんの二人を描いた、「人の死なない」、やさしいミステリシリーズです。よろしければぜひ読んでみてください。そしてアンソロもよろしくおねがいします。まだ原稿に手をつけていませんごめんなさい今から書きます。

 あと、上記の告知とは一切関係ないのですが、私・篠崎麻琴は現在、有償・無償問わず、ライターとしてのお仕事を募集しております。いちおう小説や評論文・批評文、書評などの執筆経験がございます。ご連絡はTwitterかメール(loupsgarous.makoto[#]gmail.com、[#]を@に置換してください)でお願い致します。字数・納期は要相談です。

 実は、さっきのアンソロの原稿も書いてないし、別口で受けている書き下ろしの仕事も終わっていません。私に幼児向けの本なんて書かせちゃダメだよ、なんて思いましたが、そこは依頼があったので断れませんでした。断るほどの立場にもないですし。
 というわけで、簡単な記事となってしまいましたが、これにて今回のエントリはおしまいにしたいと思います。そろそろ仕事に本腰入れないとやばいしぬ。
 それでは皆様、コミケ、もしくはコミティアで、冊子を通してお会いしましょう。ありがとうございました。

2013/10/01

あきがこない

 どうもお久しぶりです。創立記念日のため、今日は学校がお休みな篠崎です。
 最近この辺は一気に寒くなりました。日が暮れると気温が20℃を切ることもしばしば。学校への行き帰りが夏服だと厳しくなってきました。冬服はよ。

 先日、母方の祖母が栗ご飯を作ったのでこれから持ってくる、というのを聞いて「もうそんな季節か、秋だなぁ」なんて呑気に構えていたら、5合炊きの炊飯器の釜いっぱいくらいの量の栗ご飯がドカンとやって来ました。いや、どんだけ炊いたんだよと。「いや、新栗だから水分多くてねー、2回ともやわらかくなっちゃった」じゃないよ。何2回も炊いてんだよ。1回目がやわらかかったからって2回目リベンジするなよ。しかもその2回分全部持ってくるんじゃないよと。
 結局、その晩から4人家族の我が家で食べ始めて、3日目にやっと無くなりました。もう今年は栗ご飯はいいです。

 あと先日、我が愛しのLet's noteちゃんのファンから埃を食ったような変な音がしたので分解掃除したら、マシンパフォーマンスが劇的に向上しました。排熱効率が向上して、CPUがよく冷えるようになったのか、RailSimとか電車でGO! FINALとかSimCity3000とかgccとかtarが前よりも快適に動きます。素晴らしいです。皆さんもパソコンの分解掃除をしてみてはいかがでしょう。わりと劇的改善するかもです。

 さて、私も短編「粟津の悲恋」を一本寄稿させていただきまして、夏コミにおいてどりーむ@ぴーしーず様より頒布されました「あ・じゃんぶる11」の献本を、先日ようやっと受け取りました。というのも、私の献本を代わりに受け取っていたロキナ氏と会う機会が全然無かったからというだけの事なんですが。
 なんだか本当に私なんかが寄稿ちゃってよかったのかこれ、みたいなクオリティの高い作品ばかりが載っていて、しかもコミックとかイラストで参加されてた方々のクオリティが色々と高くて、ページ数で3ページしかない私の小説などはもうその影に隠れてひっそり感満載です。参加させていただきありがとうございました。
 ちなみに次の「あ・じゃんぶる」にもたぶん寄稿することになると思います。今度はちゃんと書き下ろしたいと思います。

 ついでに、その「あ・じゃんぶる」を受け取るのにロキナ氏に会った際、約3ヶ月遅れの誕生日プレゼントをもらいました。



 ……くそかわええ。
 ちなみにこれ、抱きまくら用のぬいぐるみで、普通のぬいぐるみよりも弾力強めに作られてます。抱きしめてみると、すごくもっふもっふしていて気持ちいいです。
 というかしろたんかわいすぎるだろ。

 閑話休題。
 10月19日、神奈川県内某所にて行われますイベントにおいて、ちょっとした企みごとをする予定です。というか完全に巻き込まれました。要するに冊子の配布なのですが、そこに私もまた寄稿をさせていただいております。
 ちなみにその打ち合わせの時、

私「冊子、どのくらい刷るの?」
主催者「……300部くらい?」
私「……。」

 という、とても不安なやりとりがありましたが、まあ気にしないでおきます。どうやったら300部も捌けるんだろう。
 というわけで、たぶん数日中に、一時的にtwitterアカウント復活させます。んで宣伝します。でないといろいろつらい気がするので。
 ちなみに、先述の冊子のための原稿はまだ一文字も書いてません!!1
 今から書きます、はい。

 あ、あと、たぶんそのイベントの後になると思いますが、サイトをリニューアルします。
 今のサイトはあまりにシンプルすぎるなぁと思ったので、今度は割と真面目に構築したいと思ってます。
 ロゴデザインは既に某人に依頼しましたので、たぶん今のサイトのような、テキストオンリーな寂しい感じのサイトにはならないと思います。そう信じたい。というかサイト本体の構築は自分でやるんだし。
 いろいろと面倒なのでjQuery使っちゃおうかなぁ、とか。

 それでは今日はこの辺で。篠崎でしたー。

2013/07/29

夏とかいう地獄の沙汰

 どうも、「ATH-CKM500」でググると8番目にこのブログがヒットすることに関して驚きを隠せない篠崎です。一体何があったってんだ。
 そして、このブログ全体のプレビュー数がいつの間にか1万を超えていました。なにこれこわい。

 それでは、まずお詫びから始めたいと思います。

ゼロフェス出るとか言ってすいませんでした本は出ませんでしたm(_ _)m



 はい。上記のとおりです。
 本来の予定ですと、7月1日までに全員で原稿を寄せ合い、その後自前で印刷して出店する予定でした。少なくとも5月の初め頃までは。
 しかし、6月半ばからお互いに忙しくなることが判明。加えてメンバーが集まらず、今回はお流れになりました。
 そしてその旨をブログに書こうとも思ったのですが、そんな暇もないくらいに忙しくなってしまい、告知が遅れてしまいました。というかもう事後。ほんとうにごめんなさい。
 ちなみに主催者は、「12月には絶対出しましょう!」といっていたので、たぶん12月のゼロフェスでは本が出ます。12月までだったら時間あるので、自分の本も作れるかもしれませんね。 楽しみにしていてください。私の駄文以外を。
 あと、主催者によれば、10月にどこぞで何かをしでかす計画があるみたいなので、それはそれで楽しみにしておいてください。たぶんその計画当日の1週間くらい前に私のTwitter垢が突如復活して告知します。

コミケに出展する合同誌に参加させて頂きました


 活動休止とは何だったのか。

 コミケ二日目、東ぺ-09b「どりーむ@ぴーしーず」様にて頒布されます「あ・じゃんぶる11」に寄稿を致しました。
 一から書き下ろす時間はとてもじじゃないけど無かったので、過去作「粟津の悲恋」が加筆・修正のうえ掲載される予定です。
 既に私の原稿は、同じく合同誌に参加する神崎悠人様を通じて提出済です。締切12時間くらい破っちゃいましたてへぺろ。
 皆様、当日はぜひともブースにお立ち寄りください。
 詳しいことは、どりーむ@ぴーしーず様のホームページをご覧ください。
 ちなみに今回も私はコミケ全日程不参加です。

 そういえば、なぜか学校にあった腐敗病棟(先述した神崎氏の個人サークル「DIARY LABOR」制作のゲーム)の体験版を家に持って帰ってきて、そのままにしちゃってますね……。

 以上、今回はコレにて更新ネタがつきました。短いですね。過去最短じゃないですかね。別にいいですけど。
 みなさん、夏風邪と夏バテには気をつけてくださいねー。去年の私みたいにひと月足らずで体重を2kgも落としたりしないように気をつけてくださいねー(実話)。
 ではでは、またこんどっ。

2013/05/29

「児童ポルノ禁止法」一部改定法案を読む

 注)この法律案については「改正」という言葉を使いたくないという私の一存により、以下、原文で「改正」とされている部分は「改定」と表記します。



 2013年5月29日、児童ポルノ禁止法の改定案が国会に提出された。児童ポルノの単純所持を禁止する他、「児童ポルノに類するもの」に関する記述も追加されており、アニメなどの表現規制にもつながる可能性があるとして話題になっている。
 それではこの法案、どこが問題なのだろうか。法学部でもなんでもないただの一学生である私が、素人目に解釈してみることにする。

1.「児童ポルノ」とは


 そもそも、「児童ポルノ」の定義とは一体どういったものなのか。児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(通称:児童ポルノ禁止法)の現行法令第2条をそのまま引用してみる。
第二条 この法律において「児童」とは、十八歳に満たない者をいう。
2 この法律において「児童買春」とは、次の各号に掲げる者に対し、対償を供与し、又はその供与の約束をして、当該児童に対し、性交等(性交若しくは性交類似行為をし、又は自己の性的好奇心を満たす目的で、児童の性器等(性器、肛門又は乳首をいう。以下同じ。)を触り、若しくは児童に自己の性器等を触らせることをいう。以下同じ。)をすることをいう。
 一 児童
 二 児童に対する性交等の周旋をした者
 三 児童の保護者(親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童を現に監護するものをいう。以下同じ。)又は児童をその支配下に置いている者
3 この法律において「児童ポルノ」とは、写真、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に係る記録媒体その他の物であって、次の各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものをいう。
 一 児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態
 二 他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
 三 衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
 つまりまとめると、
1.18歳に満たない者が性交・性交類似行為をしている姿態
2.18歳に満たない者の性器等を触る行為に係る姿態
3.18歳に満たない者に性器を触らせる行為に係る姿態
4.18歳に満たないものが、衣服の一部および全部を着けておらず、性欲を興奮または刺激するもの
以上4点のどれかに該当する、 視覚により認識することができる方法により描写したもの、となる(原文では3項だが、わかりやすいように4項目とした)。
 勘のいい方はお気づきだろう。そう、実は靴下を片方脱いだたけの18歳未満の者の写真でさえ、児童ポルノになりうるのだ

2.児童ポルノの単純所持禁止


 次に、児童ポルノの単純所持に関する条文を見てみよう。これは、同法改定案において、第六条の二として新規に規定されたものである。同法改定案第六条の二、および第七条を以下に引用する。
第六条の二 何人も、みだりに、児童ポルノを所持し、又は第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録を保管してはならない。
第七条 自己の性的好奇心を満たす目的で、児童ポルノを所持した者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。自己の性的好奇心を満たす目的で、第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録を保管した者も、同様とする。
単純所持は禁止されているものの、罰則規定はない。だが、「自己の性的好奇心を満たす目的で」という記述がなく、被疑者の故意性が無くても同法違反となる。そのため、自身が意図せずにコンピュータ内に保存した画像(キャッシュデータ)なども児童ポルノの所持として認められることになる。
 例えば、あるWebサイトをロードした際、ユーザーの知らないうちに、バックグラウンドでスクリプトを用いて自動的に児童ポルノ画像がキャッシュ(プリロード)された場合も、同法違反となる。プリロードは、現在Javascriptで一般的に利用可能である。

3.インターネットの利用に係る事業者の努力


 実はこれ、なかなかのダークホースではないだろうか。インターネット事業者に対し、児童ポルノのデータが拡散しないようにするための措置を講ずるよう求めている。以下に同法改定案第十四条の二を引用する。
第十四条の二 インターネットを利用した不特定の者に対する情報の発信又はその情報の閲覧等のために必要な電気通信役務(電気通信事業法(昭和五十九年法律第八十六号)第二条第三号に規定する電気通信役務をいう。)を提供する事業者は、児童ポルノの所持、提供等の行為による被害がインターネットを通じて容易に拡大し、これにより一旦国内外に児童ポルノが拡散した場合においてはその廃棄、削除等による児童の権利回復は著しく困難になることに鑑み、捜査機関への協力、当該事業者が有する管理権限に基づき児童ポルノに係る情報の送信を防止する措置その他インターネットを利用したこれらの行為の防止に資するための措置を講ずるよう努めるものとする。
これは一体どうなのだろう。私はWebインフラエンジニアではないので、どのような対策をすればいいのか皆目見当がつかないのだが。そもそも、データが海外に流れてしまえばもう手は付けられないのである。

4.いろいろ詰め込まれた附則


 冒頭で述べた、「アニメなどの表現規制にもつながる可能性」がここに隠されている。同法改定案附則第二条を以下に引用する。
第二条 政府は、漫画、アニメーション、コンピュータを利用して作成された映像、外見上児童の姿態であると認められる児童以外の者の姿態を描写した写真等であって児童ポルノに類するもの(次項において「児童ポルノに類する漫画等」という。)と児童の権利を侵害する行為との関連性に関する調査研究を推進するとともに、インターネットを利用した児童ポルノに係る情報の閲覧等を制限するための措置(次項において「インターネットによる閲覧の制限」という。)に関する技術の開発の促進について十分な配慮をするものとする。
2 児童ポルノに類する漫画等の規制及びインターネットによる閲覧の制限については、この法律の施行後三年を目途として、前項に規定する調査研究及び技術の開発の状況等を勘案しつつ検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとする。
「調査研究を推進する」としているが、これでは実質「なにもしない」と言っているのと何ら変わりはない。何を持って推進とするのか規定されておらず、その研究は様々な視点からの意見を収集し、一部の団体の意見を一方的かつ全面的に取り入れた結果とならないようにするための施策が無い。
 また、これら全体を見回して、「『児童ポルノに類する漫画等』の規制ありき」な感は否めない。なぜ「児童ポルノに類する漫画等」だけが特にこの附則に明記されたのか、一切不明であることからも、それは明らかであろう。
 なぜ「児童ポルノ」では「『児童ポルノに類する漫画等』が『 児童の権利を侵害する行為 』」との関連性の調査研究がなされ、「殺人その他の刑法犯罪」に関しては行われないのか。またその調査研究対象が、「児童ポルノに類する漫画等」という、「漫画、アニメーション、コンピュータを利用して作成された映像、外見上児童の姿態であると認められる児童以外の者の姿態を描写した写真等であって児童ポルノに類するもの」という、いわば「二次元」のそれに限られているのはなぜなのだろうか。
 テレビドラマにも暴力シーンはある。ベッドシーンもある。深夜帯のドラマでは、女性が乳房を露出するようなものもある。そんな深夜帯のドラマには、視聴に対する年齢制限はないはずだ。それなのに、この法律改定案が目を向けたのはなぜ、「18禁」というカテゴライズのある「漫画等」、「二次元」だけなのか。

5.総括して、やっぱり単純におかしいと思う


 「児童ポルノ禁止法」は、18歳に満たない、「児童」と規定される者らの権利・尊厳を守るための法律である。そんな法律がなぜ、「漫画等」を規制する可能性を有するのだろうか。現実の子どもたちを守るための法律が、なぜ実在しない存在までも規制する可能性を有するのか。巷で言われている通り、国会議員のほうが三次元と二次元との区別がついていないのではないか。

 「児童ポルノに類する漫画等」の普及が進んだとされる昨今であるが、ここ数年では強姦罪・強制わいせつ罪の認知件数は減少傾向であり(平成24年度版「犯罪白書」第1編 第1章 第2節 2 - (5)参照)、一般に「児童ポルノに類する漫画等」が児童ポルノおよび性犯罪を助長しているという事実は認められていない。これは、この法律案を提出した高市早苗議員も認めているという(表現の自由を大幅に規制する法案に反対 | 参議院議員 山田太郎 公式webサイト参照)。
 ならば、なぜ「児童ポルノに類する漫画等」だけが「調査研究」の対象となったのか。他の犯罪において、その関連性の「調査研究」をしないのはなぜか。あまりにも不透明であり、不条理である。

 この法律改定案、その第三条は以下のようになっている。
第三条 この法律の適用に当たっては、国民の権利を不当に侵害しないように留意し、児童に対する性的搾取及び性的虐待から児童を保護しその権利を擁護するとの本来の目的を逸脱して他の目的のためにこれを濫用するようなことがあってはならない。
さて、この条文は果たして壮大なネタなのか、それともブーメランなのか。
 ネタであっては困る。万が一「児童ポルノに類する漫画等」が規制された場合、それは立派に憲法21条に違反するのだから。