2011/01/10

東京都青少年健全育成条例改悪案についての個人的所見および主張

 去る2010年12月、東京都議会で青少年健全育成条例改正案(改正というより私は改悪といいたい)が可決、成立した。出版界やネット世論を完全に無視した上、都知事に至っては漫画家を卑しい職業だと言ったり、まるでアニメやマンガを社会のゴミとして扱っているかのような素振りさえ見せた。今回はこの都条例「改悪」について、長くなりそうだし今更感甚だしいが、ここに書いてみたいと思う。

 まずこの条例への個人的な所見。
 この条例からは、現代社会の問題点を全てアニメやマンガ等に押しつけ、それらを害悪視し、世間から排除しようという意図がありありと見て取れる。モラル教育は本来、家庭や学校などの教育の場で行われるのが筋だが、この条例はそれらをきっぱりと無視し、その本来家庭や教育の場が負うべき「モラルの育成」という責任を放棄し、出版物の規制という形でそれを出版界に押しつけただけのものだ。

 更に言わせてもらえれば、アニメやマンガの表現を規制するよりも、コンビニの棚に堂々と成年向けのアダルト雑誌が陳列され、それらが、読もうとすれば誰でも読める状態にあることを規制した方がはるかに有効だと私は考えている。そのような類の雑誌には、表紙には卑猥な単語に加え、見ただけで人によっては(私もそうなのだが)吐き気のするような写真が印刷され、それがあまつさえコンビニの棚の一部を、堂々と完全に占拠しているのだ。確かに一部のアニメやマンガには、過激とも思える表現があるのは事実だが、それらもアダルトビデオや成年雑誌、過激な官能小説に躍っている情報に比べれば何のことはない。この条例は、「青少年の健全な育成」という視点からではなく、「いかにしてアニメやマンガを規制するか」という視点からしか議論されていないのではないか、とさえ思ってしまうほどにお粗末である。

 また、この条例を定めるにあたって、都は出版業界団体との協議を十分に持っていない。むしろ業界団体が協議を申し入れたのに対し、都側はそれを拒否したという。これは条例を決める上ではあってはならない暴挙だと思うし、加えて出版業界には何も言わせないくせに、都知事は堂々と「漫画家は卑しい職業」だの、「アキバに集うようなオタクは頭がおかしい」だの「アニメやマンガが日本人の良識を壊している」だの、ずいぶんと言ってくれている。名誉毀損で訴訟を起こしてもいいくらいだし、どちらかといえば私は都知事の良識の方を疑いたい。

私はまだ未成年で参政権は無いが、未成年とはいえ、この行政の横暴ともいえる条例を、断じて許すことはできない。

現在、「署名.tv」において、この条例を廃案にするよう求める署名活動が行われています。
私はこの趣旨に賛同し、これに署名すると同時に、またご賛同くださるみなさまにも、署名をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。署名ページへはこちらからどうぞ。